【2026年最新】スタートアップビザとは?全国展開後の要件・21自治体一覧・経営管理ビザとの違い
2025年1月の全国展開と2025年10月16日の経営管理ビザ要件変更を踏まえ、スタートアップビザの最新要件・認定21自治体+1法人・経営管理ビザとの違い・申請手順・共同創業者の呼び方を実務目線で解説します。

スタートアップビザは、 外国人が日本で起業する場合に事業所確保と事業規模の2要件を最大2年間猶予して滞在できる在留資格 です。2025年1月1日の全国展開で、従来の国家戦略特区スキームと経済産業省スキームが一本化され、現在は21自治体+1法人が認定団体としてサポートしています(出典: 地方創生 スタートアップビザの全国展開)。さらに2025年10月16日には経営管理ビザの資本金要件が3,000万円に引き上げられたため、移行戦略の設計が一段と重要になっています。
本記事では、最新の要件・認定自治体・経営管理ビザとの違い・申請手順・共同創業者を呼ぶ実務までを、外国人起業家と日本人起業家の双方の視点で整理します。
スタートアップビザとは|外国人起業活動促進事業の概要
スタートアップビザは、正式名称を「外国人起業活動促進事業」といい、出入国管理上は在留資格「特定活動46号」に分類される制度です。経済産業大臣が認定した地方自治体や民間法人(実施団体)が事業計画を確認し、その確認証明書をもって入管に申請する仕組みになっています(出典: METI 外国人起業活動促進事業、出入国在留管理庁 スタートアップ関連施策)。
経営管理ビザとの最大の違いは「事業所の確保」と「事業の規模」の2要件を猶予できる点 です。通常、経営管理ビザを取得するには事務所契約・資本金・雇用の実態を入国前から整える必要がありますが、これは海外在住の起業家には現実的にきわめて難しいものでした。スタートアップビザはこの矛盾を解消するために設計された制度です。
制度の対象となるのは、 日本国内で新たに事業を開始する意思があり、認定団体の支援を受けながら起業準備を行う外国人 です。在留期間は当初6か月で、最大3回(合計2年間)まで更新が認められ、その間に経営管理ビザの本要件を満たすことが目標となります(出典: 地方創生 スタートアップビザの全国展開)。なお、起業形態には株式会社設立のほか合同会社や個人事業も含まれ、テック系のスタートアップに限定された制度ではありません。スタートアップとは何かの基礎は、スタートアップとベンチャーの定義・違いも参考になります。
2025年1月の全国展開と2025年10月16日の要件変更
スタートアップビザは2015年に福岡市で始まり、長らく 国家戦略特区の枠組みと経済産業省事業の二本立て で運用されてきました。猶予期間も特区が1年、経産省事業が1年6か月と異なり、申請者にとってわかりにくい制度でした。
2025年1月1日の制度改正で、この2つが 経済産業省の外国人起業活動促進事業に一本化 され、猶予期間も 最大2年間に統一 された上で、認定団体のある地域であれば全国どこでも申請できるようになりました(出典: 地方創生 スタートアップビザの全国展開)。
さらに2025年10月16日からは、 経営管理ビザの新基準 が施行されました。スタートアップビザそのものの基本要件は維持されつつ、卒業後に移行する経営管理ビザのハードルが大きく上がっています。
主な変更点は次の3つです(出典: METI 告示一部改正資料、WINDS行政書士事務所 2026年最新要件)。
- 資本金要件: 経営管理ビザの最低資本金が500万円から3,000万円へ引き上げ
- 雇用要件: 常勤職員1名以上の雇用が必須化(常勤として認められるのは日本人・特別永住者・永住者など限定された身分)
- 本人要件: 事業の継続性・収益性を裏付ける書類審査が厳格化
つまり、 スタートアップビザの2年間で「経営管理ビザの新要件3,000万円+常勤雇用1名」を満たせる体制まで仕上げる必要がある ということです。事業計画段階から資本金調達・採用・売上計画を組み込んでおかないと、せっかく取得したビザを失効させる結果になりかねません。
認定された21自治体+1法人の一覧と主要都市の特徴
2026年5月時点で、スタートアップビザの認定団体は 21自治体+1民間法人 にのぼり、さらに3自治体がサポート準備中とされています(出典: WINDS行政書士事務所 2026年最新要件)。
確認できている主要な認定団体には、 福岡市・愛知県・岐阜県・神戸市・大阪市・三重県・北海道・仙台市・横浜市・茨城県・新潟県・大分県・京都府・兵庫県・渋谷区(東京都)・浜松市・加賀市・富山県・神奈川県 などが含まれます(出典: 各自治体公式サイト、行政書士しかま事務所 2025年最新版)。最新の完全な一覧は、必ずMETI 公式ページで確認してください。認定団体は告示改正で随時追加されるため、本記事の自治体名だけで判断するのは避けることをおすすめします。
主要都市の特徴を簡単に整理すると、 東京都(Invest Tokyo / BDC Tokyo) はメンタリング・銀行口座開設・住居サポートまで含むワンストップ支援が強みで、グローバルメンター制度や英語対応窓口の充実度では国内トップクラスです(出典: Invest Tokyo スタートアップビザ)。 福岡市 は2015年の制度開始時からの実績があり、グローバル創業・雇用創出特区との連携が深く、英語環境のインキュベーション施設が利用しやすい点が特徴です。 横浜市 は2019年12月25日に経済産業大臣の認定を受け、市内の創業支援施設と組み合わせた伴走型支援を提供しています(出典: 横浜市スタートアップビザ)。 大阪市・神戸市 は関西圏のスタートアップエコシステム拠点としての位置付けで、製造業や医療系シーズとの連携機会が豊富です。
選び方のポイントは、 事業ドメインとの相性・支援メニューの厚み・想定居住地 の3つです。テック系で投資家との接点を重視するなら東京都・横浜市・福岡市、製造業・医療系であれば愛知県・神戸市・大阪市、地方創生型のビジネスであれば加賀市・富山県・大分県といった選び方が現実的です。
経営管理ビザとの違い|どちらを選ぶべきか比較表
スタートアップビザは「経営管理ビザに向けた助走路」です。最終的なゴールは経営管理ビザの本要件を満たすことなので、両者の差分を最初に正しく押さえる必要があります。
ポイントは5つあります(出典: METI 告示一部改正資料、JETRO 対日投資 ビザ・在留資格、出入国在留管理庁 スタートアップ関連施策)。
第一に 最低資本金 は、スタートアップビザでは事業計画ベースで明確な下限はなく、経営管理ビザでは2025年10月16日以降3,000万円が必須です。第二に 在留期間 は、スタートアップビザが6か月×最大3回更新で合計2年、経営管理ビザは3か月・1年・3年・5年の刻みです。第三に 雇用要件 は、スタートアップビザでは猶予期間中は不要、経営管理ビザでは常勤職員1名以上(日本人・永住者など限定)が必須になりました。第四に 申請窓口 は、スタートアップビザが認定自治体または民間法人の確認証明を経たうえで入管に申請する二段階方式、経営管理ビザは入管へ直接申請する一段階方式です。第五に 更新条件 は、スタートアップビザが事業準備の進捗報告と自治体の伴走、経営管理ビザが事業継続性・財務健全性・雇用維持の総合審査となります。
どちらを選ぶべきかの判断基準はシンプルです。 入国前に資本金3,000万円・事務所・常勤職員1名以上をすぐに整えられるなら経営管理ビザ 、 まずは日本で事業を立ち上げながら2年かけて要件を整えたいならスタートアップビザ です。海外在住の起業家でいきなり経営管理ビザを取得できるのは、十分な資本金と日本側のパートナーをすでに確保しているごく少数のケースに限られます。資金調達の選択肢を整理したい場合は、創業融資の必要書類と審査通過のコツも参考になります。
スタートアップビザ申請の流れと必要書類
スタートアップビザの申請は 「認定団体の事業計画確認」→「入管への在留資格認定証明書交付申請」→「在外公館でのビザ発給」→「上陸」 という4段階で進みます(出典: METI 外国人起業活動促進事業、出入国在留管理庁 スタートアップ関連施策)。
具体的なステップは次の通りです。
- 認定自治体・法人の選定と事前相談: 事業ドメインと支援メニューの相性で自治体を選び、英語または日本語で初回相談を行います。多くの自治体がオンライン面談に対応しています。
- 起業準備活動計画書の作成: 事業の概要・市場・収益モデル・資金計画・2年後の経営管理ビザ移行プランをまとめます。3,000万円の資本金調達ロードマップを明記することがポイントです。
- 認定団体の事業計画確認: 自治体や民間法人が計画の実現可能性を審査し、「起業準備活動計画確認証明書」を交付します。
- 在留資格認定証明書交付申請: 確認証明書を添えて、地方出入国在留管理局に在留資格「特定活動46号」の認定証明書交付申請を行います。
- 査証申請と上陸: 在外公館に査証申請し、発給後に来日。空港で在留カードが交付されます。
- 定期的な進捗報告: 認定団体に対し、四半期または半年ごとに事業準備状況を報告します。
必要書類は申請団体によって細部が異なりますが、共通して必要となるのは 事業計画書・起業準備活動計画書・在留資格認定証明書交付申請書・履歴書・パスポート写し・大学卒業証明書または職務経歴の証明・残高証明書 などです。資本金の出所と日本での生活費を担保する預金残高を示すことは、ほぼ全自治体で求められます。
審査期間は認定団体での確認に2週間〜2か月、入管での認定証明書交付に1〜3か月、合計で3〜5か月程度を見込んでおくと安全です(出典: 行政書士しかま事務所 2025年最新版)。早めに申請プロセスに入ることをおすすめします。
日本人起業家が外国人共同創業者を呼ぶときの実務ポイント
スタートアップビザは外国人起業家だけの制度と思われがちですが、 日本人起業家が海外在住の共同創業者を呼ぶときにも活用できる 重要な制度です。日本のスタートアップ界隈ではエンジニア・AIリサーチャー・海外マーケ責任者の獲得競争が激しく、海外人材の参画は事業の成長スピードを大きく左右します(出典: JETRO 対日投資 ビザ・在留資格)。
実務上のポイントは6つあります。
第一に、 法人設立タイミングの設計 です。共同創業者がスタートアップビザで来日する場合、現時点では法人格は必須ではなく、事業計画段階での参画でも申請が通る自治体が多い一方、経営管理ビザ移行までに法人を設立し、3,000万円の資本金と1名以上の常勤雇用を整える必要があります。誰がいつ役員に就任するかを最初から決めておくことが重要です。
第二に、 株式設計とSAFE/J-KISS活用 です。共同創業者が来日前に株式を取得すると、税務上の論点が生じる可能性があります。J-KISSなどのコンバーティブル投資契約や、来日後に株式譲渡を行う設計など、税理士と早期に擦り合わせるべきです。スタートアップの資金調達手法は、スタートアップ企業が投資を獲得する6つの基準も参考になります。
第三に、 NDA・知財・職務発明規程の整備 です。海外共同創業者と日本側メンバーで重要情報を扱う以上、英文NDAと職務発明規程は事業計画提出と同時に整えることをおすすめします。
第四に、 生活基盤のサポート です。共同創業者の住居・銀行口座・税務番号・健康保険の手続きは、ビザ取得後の最初の2週間で詰まる典型的なボトルネックです。東京都のBDC Tokyoのように、住居や口座開設まで支援するサービスを提供する自治体もあるため、選定の判断材料に含めましょう。
第五に、 経営管理ビザ移行に向けた資本金計画 です。2025年10月16日以降は3,000万円が必須なので、シリーズシード〜プレシリーズAでの調達計画とビザ更新時期を逆算しておく必要があります。
第六に、 役割と意思決定権の明確化 です。海外共同創業者がCTOやCDO(Chief Design Officer)として参画する場合、日本側CEOとの役割分担を株主間契約で明文化しておくことで、後の不一致を防げます。クラウドソーシングなど補完的な人材活用は、クラウドソーシングで失敗しない8つの活用術もあわせて確認しておくと選択肢が広がります。
よくある質問(FAQ)
スタートアップビザ申請を検討する起業家から寄せられる代表的な疑問をまとめます。
Q1. スタートアップビザはどのくらいの期間滞在できますか? A. 当初6か月で、最大3回まで更新でき合計2年間滞在可能です。猶予期間中に経営管理ビザの本要件を満たすことが原則です(出典: 地方創生 スタートアップビザの全国展開)。
Q2. 認定自治体が住みたい都市にない場合はどうすればよいですか? A. スタートアップビザは認定自治体・法人のいずれかから確認証明を受ければよく、申請時点の居住予定地は必ずしも認定自治体内である必要はありません。ただし、認定団体の支援メニュー(インキュベーション施設・メンタリング)を活用するには、その地域での起業活動が前提となります。3自治体がサポート準備中とされているため、最新の認定状況はMETI公式で確認しましょう(出典: WINDS行政書士事務所 2026年最新要件)。
Q3. スタートアップビザから他のビザに切り替えることはできますか? A. 基本は経営管理ビザへの移行を想定した制度ですが、事業状況に応じて技術・人文知識・国際業務など他の在留資格への切り替えも理論上は可能です。ただし、それぞれの要件を満たす必要があり、認定団体や行政書士と相談することをおすすめします。
Q4. 2025年10月の要件変更でスタートアップビザ自体の基準も厳しくなりましたか? A. スタートアップビザの基本構造は維持されていますが、卒業後に移行する経営管理ビザの資本金が3,000万円・常勤雇用1名以上必須となったため、 実質的なゴールが高くなった と理解するのが正確です(出典: METI 告示一部改正資料)。
Q5. 日本人だけの会社でも外国人共同創業者を呼べますか? A. はい、日本人起業家が代表のスタートアップでも、外国人共同創業者がスタートアップビザの要件を満たせば呼ぶことが可能です。事業計画書では当該外国人の役割・参画によって生まれる事業価値を具体的に記載することがポイントです。
Q6. 申請費用と更新費用はどのくらいかかりますか? A. 認定団体への確認手数料は無料または数千円程度が一般的で、入管の在留資格認定証明書交付申請も無料です。査証発給手数料は在外公館により異なります。実費としては、行政書士に依頼する場合の報酬(10万〜30万円程度)と、事業計画作成・翻訳費用が中心となります。
スタートアップビザは、2025年の制度改正で大幅に使いやすくなった一方、経営管理ビザの新基準を見据えた 長期的な資本政策と人材戦略 が今まで以上に重要になりました。認定団体の選定段階から、2年後・3年後のマイルストーンを描いたうえで申請プロセスに入ることをおすすめします。


ねこ太郎
独立系ベンチャーキャピタルでの投資業務を経て現在は研究機関で起業家の成功要因を分析する専門家です。キャピタリスト時代に数多くのアプリやウェブサービスの立ち上げを支援してきた豊富な経験を持っています。その現場での知見と最新の研究データを掛け合わせゼロからのビジネス立ち上げを成功に導くための実践的なノウハウを発信しています。
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