そのまま使える要件定義書サンプル!非エンジニア向けの書き方とExcelフォーマット
要件定義の認識ズレによる手戻りはプロジェクト失敗の最大の原因です。本記事では、IT知識のない非エンジニア向けに失敗しない要件定義書の書き方と3つの必須項目を解説。実務で使えるExcel対応要件定義書サンプルやフォーマットを活用し、開発外注先と確実な合意形成を図る方法がわかります。

要件定義でプロジェクトが失敗する最大の原因は、発注側と開発側の認識ズレです。これを防ぐには、要件定義書を正しく作成し、スコープを全員が合意した状態でスタートすることが不可欠です。本記事では、非エンジニアでも失敗しない要件定義書の書き方と、すぐに使えるフォーマットの必須項目を具体的に解説します。
要件定義書のサンプルやExcelフォーマットを活用してビジネスアイデアを確実に形にし、開発パートナーとの円滑な連携を実現しましょう。Webサービスやアプリ開発向けの実践的な要件定義書の書き方を身につければ、本記事で解説する必須項目をすぐに実務へ応用できます。
要件定義書とは?プロジェクト失敗を防ぐ重要性
システム開発において、要件定義書はプロジェクトの成否を握る中核的なドキュメントです。IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が公開している「ソフトウェア開発データ白書」などでも、プロジェクトが失敗する主な要因として「要件定義の不備」や「顧客とのコミュニケーション不足」が挙げられています。
開発段階で発注側と開発側の間に認識のズレがあると、後から大きな手戻りが発生し、費用と期間が膨れ上がります(参考:システム開発の費用相場と内訳を大公開!見積もりを安く抑える4つの秘訣)。そのため、初期段階で作成する要件定義書の重要性は非常に高いといえます。
要件定義書は単なる書類作成ではなく、関係者全員が共通認識を持つためのコミュニケーションツールです。要件定義書のサンプルを活用する際も、この目的を忘れないことが最初のポイントです。
要件定義書のサンプルの必須項目(フォーマット)
要件定義書には、システム化の対象となる業務や機能、性能などを網羅的に記載する必要があります。ここでは、一般的な要件定義書のサンプルに必ず含まれる3つの必須項目とフォーマットを解説します。システム開発だけでなく、アプリ開発の要件定義書のサンプルとしてもそのまま使える内容です。自社のプロジェクトに合わせてテンプレートとしてカスタマイズしてみてください。
業務要件(As-IsとTo-Be)
まずはシステム化の対象となる業務フローを明確にします。現状の業務フロー(As-Is)と、システム導入後の理想的な業務フロー(To-Be)を対比させて記述します。現状の課題を洗い出し、システムによってそれがどう解決されるのかを可視化することで、開発の目的がブレなくなります。現場の担当者が実際にどのように業務を行っているかという具体的なユースケースを詳細に書き出しましょう。
【業務要件サンプルの記入例】
- 現状(As-Is): 顧客情報を紙の台帳と担当者のExcelでバラバラに管理しているため、検索や共有に時間がかかる。
- 理想(To-Be): 全顧客データをクラウドのデータベースに統合し、全社員がリアルタイムで閲覧・編集できるようにする。
機能要件(画面・機能)

業務フローが整理できたら、次はその業務を実現するためにシステムが「何をするべきか」を機能要件として落とし込みます。非エンジニアが要件定義を行う際は、開発ベンダーに「どうやって作るか」を任せる一方で、「何を」「なぜ」作るのかというビジネス要件を明確に伝える責任があります。ユーザーが操作する画面のレイアウト、必要な入力項目、出力される帳票、扱うデータの種類などを具体化していきます。
【機能要件サンプルの記入例】
- 画面名: 顧客登録画面
- 機能概要: 新規顧客の情報をシステムに登録する
- 入力項目: 会社名(必須)、担当者名(必須)、電話番号(必須)、メールアドレス、備考
- アクション: 「登録する」ボタン押下でデータベースに保存し、一覧画面へ遷移する
非機能要件(性能・セキュリティ)
画面や機能といった目に見える部分だけでなく、システムの裏側を支える「非機能要件」の定義も欠かせません。セキュリティの基準、アクセス集中時のパフォーマンス、将来的なデータ増加を見据えた拡張性、トラブル時の復旧手順などを事前に定めておくことで、開発後のシステムの安定稼働や運用がスムーズになります。
【非機能要件サンプルの記入例】
- 性能要件: 検索ボタンを押してから3秒以内に結果を画面に表示すること
- セキュリティ要件: 通信はすべてSSL暗号化し、パスワードはハッシュ化して保存すること
- 可用性: 計画停止(メンテナンス)を除き、24時間365日稼働すること
| 大項目 | 詳細項目 | 記載内容のポイント |
|---|---|---|
| 業務要件 | 現状と新業務フロー | 現在の課題と導入後の理想的な手順を定義する |
| 機能要件 | 画面・データ要件 | ユーザーが操作する画面仕様や扱うデータの種類 |
| 非機能要件 | 性能・セキュリティ | 応答速度、アクセス権限、障害時の復旧手順 |
非エンジニア向け!要件定義書の書き方とコツ
ITの専門知識がない非エンジニアが要件定義書を作成する際、失敗を避けるための重要な書き方のコツがあります。
専門用語を避けて平易な言葉で書く
要件定義書は、エンジニアだけでなく、経営陣や現場の担当者など、プロジェクトに携わるすべてのメンバーが目を通す資料です。そのため、ITの専門知識がない人にも正確に内容が伝わるよう、専門用語の多用を避け、平易な言葉で記述すべきです。どうしても専門用語が必要な場合は、必ず注釈や用語集を設けて、関係者間の認識のズレを防ぎましょう。
要件の優先順位(Must/Should/Won't)を決める
限られた予算と期間の中で開発を成功させるためには、すべての要望をシステムに詰め込むのではなく、要件の優先順位付けが不可欠です。「絶対に必要な機能(Must)」「できれば欲しい機能(Should)」「今回は見送る機能(Won't)」といった基準を設け、開発パートナーと密なコミュニケーションを取りながらスコープを絞り込みます。特に新規事業では、最小限の機能で早期に市場の反応を見るアプローチも重要です。詳しくはMVPとは?新規事業を失敗させない開発の基本と実践的な進め方で解説しています。
要件定義書をExcelで作成する際のポイント
多くの現場では、要件定義書のサンプルとしてExcelフォーマットを活用して要件を管理しています。Excelは誰でも使いやすく、一覧性に優れている点がメリットです。実際に要件定義書サンプルのExcel版を作成する際は、以下のような列構成(項目)を設けるのが標準的です。
【Excelフォーマットの項目例(機能一覧シート)】
- ID(No.): 機能の通し番号(例:F-001)
- 大分類・中分類: 機能のグループ分け(例:顧客管理 > 検索機能)
- 画面・機能名: 対象となる画面や機能の名前
- 機能の目的: なぜこの機能が必要なのか(背景)
- 詳細説明: 機能の具体的な挙動や入力・出力の仕様
- 優先順位: Must(必須)、Should(推奨)、Won't(見送り)
しかし、Excelで管理する際は「最新版がどれか分からなくなる」「複数人での同時編集が難しい」といった課題が発生しがちです。バージョン管理のルールを明確にし、ファイル名に日付やバージョン番号を入れるなどの工夫が必要です。また、項目が増えすぎると視認性が下がるため、機能一覧や非機能要件など、シートを分けて整理すると良いでしょう。
開発を成功に導く要件定義のステップ
新規事業の立ち上げにおいて、いきなりフォーマットを埋め始めるのは危険です。質の高い要件定義書を完成させるには、以下のステップを踏むことが推奨されます。
- 現状分析と課題の明確化
- システム化の目的と方向性の決定
- RFP(提案依頼書)の作成
- 開発パートナー(委託先)の選定
- 要件のヒアリングと洗い出し
- 要件定義書の作成と優先順位付け
- 関係者との最終的な合意形成
この上流プロセスを一つずつクリアし、各フェーズの議論を漏れなく反映させることで、手戻りのないスムーズな開発へと繋がります。要件定義を始める前の企画・要求定義といった「前工程」をしっかり準備しておくことも重要です。
なお、アジャイル開発を採用する場合は、初期段階ですべてを定義しきらず、柔軟に進めるアプローチも有効です。具体的な手順はアジャイル開発の要件定義はどう進める?新規事業を成功に導く6つの実践ポイントで詳しく解説しています。
よくある質問
要件定義書の作成や進め方に関して、起業家やプロジェクト担当者からよく寄せられる疑問にお答えします。
要件定義書は誰が書くべきですか?
基本的には、発注側(事業会社)のプロジェクトマネージャーや担当者が主体となって作成します。ただし、技術的な詳細は開発パートナー(ベンダー)の支援を受けながら、共同で作成・ブラッシュアップしていくのが一般的です。
要件定義にかかる期間の目安は?
プロジェクトの規模によりますが、小〜中規模のシステムであれば1〜2ヶ月、大規模なシステムであれば3〜6ヶ月程度かかることが多いです。要件定義を急ぐと後で手戻りが発生するため、十分な時間を確保することが重要です。
まとめ
システム開発における要件定義書は、プロジェクトの成功を左右する極めて重要なドキュメントです。特に非エンジニアの方が主導する場合、誰にでも理解できる平易な言葉で、具体的な業務フローや非機能要件まで網羅することが求められます。
関係者間の認識齟齬を防ぐためには、要件の優先順位付けと、現状分析から合意形成に至るまでのプロセスを確実に踏むことが不可欠です。本記事で紹介した要件定義書のサンプルやフォーマットの活用ポイントを参考に、コミュニケーションツールとしての役割を最大限に引き出し、開発パートナーと一体となってプロジェクトを推進してください。


ねこ太郎
独立系ベンチャーキャピタルでの投資業務を経て現在は研究機関で起業家の成功要因を分析する専門家です。キャピタリスト時代に数多くのアプリやウェブサービスの立ち上げを支援してきた豊富な経験を持っています。その現場での知見と最新の研究データを掛け合わせゼロからのビジネス立ち上げを成功に導くための実践的なノウハウを発信しています。
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