商標登録の費用相場とやり方完全ガイド!自分で申請して安く抑える5つのポイント【2026年版】
新規事業やサービスの名称を守るために欠かせない「商標登録」。特許事務所(弁理士)に依頼した場合の費用相場や、費用を抑えて自分で申請するやり方を具体的に解説します。出願から登録までの期間や失敗しないための手続きの流れも網羅しました。

起業や新規事業の立ち上げにおいて、サービス名やロゴなどのブランドを守る商標登録は不可欠です。しかし、その商標登録にかかる費用や複雑な手続きに不安を感じる方も少なくありません。適切な知識があれば、コストを抑えつつ将来のリスクを回避できます。
この記事では、商標登録にかかる金額の基本構造から、自分で申請する具体的なやり方と注意点、区分数の影響、手続きの流れ、そして想定外の追加費用への備えまで、初期費用を安く抑えるための5つのポイントに分けて具体的に解説します。本記事を通じて、大切なビジネスを守るための知財戦略を効果的に進める方法を理解できるでしょう。
ポイント1:費用の基本構造と申請方法の選択
起業や新規事業の立ち上げにおいて、サービス名やロゴなどのブランドを守るための商標登録は欠かせないプロセスです。ここでは、最初のステップとして押さえておくべき費用の基本事項と、申請方法による金額の違いを整理します。
商標登録にかかる費用の基本構造
商標登録の費用は、大きく分けて特許庁に納付する 法定費用 と、専門家である弁理士に依頼した際に発生する 代行手数料 の2つで構成されています。
法定費用はどの方法で申請しても必ず発生する実費であり、出願時と登録時の2回に分けて支払います。一方、代行手数料は依頼する特許事務所によって変動します。そのため、商標登録にかかる全体の金額を左右する大きな要因となります。
自分で申請するか弁理士に依頼するかの判断ポイント
費用を最小限に抑えるために、自分で特許庁へ出願することも可能です。しかし、専門知識がない状態で申請すると、書類の不備や指定区分の誤りにより、審査に落ちるリスクが高まります。
以下の表は、1区分(1つの事業領域)で申請した場合の費用比較の目安です。
| 申請方法 | 法定費用(1区分) | 代行手数料の目安 | 総額の目安 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|---|---|
| 自分で申請 | 44,900円 | 0円 | 44,900円 | 費用を最小限に抑えられる | 手間がかかり、審査落ちのリスクが高い |
| 弁理士に依頼 | 44,900円 | 50,000円〜100,000円 | 94,900円〜144,900円 | 適切な区分設定ができ、審査通過率が高い | 専門家への依頼費用が上乗せされる |
※法定費用は出願料(12,000円)と登録料(10年分:32,900円)の合計額です。(出典: 特許庁「産業財産権関係料金一覧」)
現場で運用する際の注意点
商標登録の費用を抑えることだけを目的とすると、本来カバーすべき事業領域の指定が漏れてしまう恐れがあります。その結果、後から他社に類似商標を取られるといったトラブルにつながりかねません。自社のビジネスモデルに合わせて適切な区分を選ぶことが、結果的に事業の安全性を高めます。
また、初期費用がネックとなって商標登録を後回しにしてしまうケースもあります。しかし、事業が軌道に乗ってから名称変更を余儀なくされると、システム改修やマーケティングのやり直しで莫大なコストが発生します。
資金面に不安がある場合は、創業期の支援制度を活用するのも有効な手段です。資金繰りについては 【保存版】起業の不安を解消!返済不要の補助金を活用した資金調達5つの手段 も参考にしてください。
商標登録にかかる費用は単なる出費ではなく、将来のビジネスリスクを回避するための 防衛投資 です。自社のリソースと予算を照らし合わせ、最適な申請方法を選択してください。
ポイント2:自分で申請するやり方とリスクへの対策
商標登録にかかるコストを最小限に抑える方法として、特許事務所や弁理士に依頼せず、自社で直接特許庁へ出願手続きを行うアプローチがあります。新規事業の立ち上げフェーズでは予算が限られていることが多く、商標登録の費用を自分で申請して安く抑えようと検討する起業家は少なくありません。
自分で手続きを行う場合、専門家への代行報酬が発生しないため、支払うのは特許庁への法定費用(出願料および登録料)のみとなります。1区分での出願であれば、トータルで4万5千円程度に抑えることが可能です。しかし、費用が安い反面、事前の調査や書類作成をすべて自社のリソースで行う必要があります。

自分で申請するやり方の基本ステップと具体例
自分で出願する場合、商標登録のやり方として以下の具体的な手順を踏むことになります。
- 先行商標の調査: 特許庁の無料データベース「J-PlatPat」にアクセスし、「商標検索」から登録したいサービス名を入力して検索します。例えば「クラウドペイ」という名前を検討している場合、完全一致だけでなく類似する名称(例:「クラウドペイメント」など)がすでに同種の事業区分で登録されていないかを確認します。
- 区分の選定: 自社のサービスが特許庁の定める第1類〜第45類のどの区分に該当するかを特定します。 (例) アプリ開発なら「第9類」、コンサルティング業務なら「第35類」、SaaS提供なら「第42類」などがよく使われます。
- 願書の作成:
特許庁の指定フォーマットに従い願書を作成します。
(記入例)
- 【商標登録を受けようとする商標】:出願するロゴや文字列を配置
- 【指定商品又は指定役務並びに商品及び役務の区分】:【第〇類】【指定商品(指定役務)】〇〇の提供
- 【出願人】:会社の住所、名称、代表者印などを記載
- 特許印紙の貼付と提出: 郵便局で出願料分の特許印紙(1区分なら12,000円)を購入し、願書に貼り付けて特許庁の窓口へ持参するか、書留で郵送します(電子出願も可能ですが、電子証明書の取得などの事前準備が必要です)。
自力で申請するか、専門家に依頼するかの判断ポイントは、主に「調査の難易度」と「社内リソースの余裕」にあります。指定したい区分が複数にまたがる場合や、類似性の判断が難しいケースでは、専門的な知見がないと審査で拒絶されるリスクが高まります。
審査に落ちて再出願となれば、結果的に商標登録にかかる金額が余計にかさむことになります。さらに、事業のローンチスケジュールに深刻な遅れが生じる可能性もあります。
現場で運用する際の注意点として、手続きにかかる見えないコスト(人件費や時間)を正しく見積もることが重要です。もし外注費用の捻出が課題となっている場合は、新規事業の資金調達方法とは?クラウドファンディングで成功する5つのポイント などを活用して初期費用を補うのも有効な手段です。
ポイント3:区分数による費用の変動と適正化
商標登録の手続きにおいて、費用を大きく左右する重要な要素が「区分(指定商品・指定役務)」の数です。ここでは、区分数による費用の変動と、適切な選択方法に関する基本事項を整理します。
区分数による費用の変動と判断ポイント
商標は、マークそのものだけでなく「どの商品やサービスで使用するか」を指定して登録します。特許庁へ納付する出願料や登録料は、この区分数に比例して加算されます。
以下の表は、区分数が増えた場合の法定費用(出願料+登録料10年分)のシミュレーションです。
| 区分数 | 出願料 | 登録料(10年分) | 法定費用の合計 | 専門家への代行手数料目安 |
|---|---|---|---|---|
| 1区分 | 12,000円 | 32,900円 | 44,900円 | 50,000円〜100,000円 |
| 2区分 | 20,600円 | 65,800円 | 86,400円 | 70,000円〜150,000円 |
| 3区分 | 29,200円 | 98,700円 | 127,900円 | 90,000円〜200,000円 |
自社のビジネスモデルを正確に把握し、本当に必要な区分を見極めることが、商標登録にかかる費用を安く抑える最大の判断ポイントです。
(例) スマートフォン向けのアプリを開発して提供する場合、「第9類(ダウンロード可能なプログラム)」の取得が基本となります。しかし、アプリ内で独自の通信販売を行うのであれば「第35類(小売・卸売業務)」が追加で必要になる可能性があります。 さらに、ユーザー同士のコミュニケーション機能を提供するのであれば「第38類(電気通信)」も検討すべきです。自社のサービス機能と照らし合わせ、該当する区分を慎重に検討してください。
現場で運用する際の注意点と要点の整理
新規事業の立ち上げフェーズでは、将来的な事業拡大を見越して多くの区分をあらかじめ取得しておきたいと考えるかもしれません。しかし、区分を増やしすぎると初期の出願費用が膨らむだけでなく、5年後や10年後の更新時にも高い維持費がかかり続けます。
まずは現在の事業に直結する 必要最小限の区分 に絞って出願することをおすすめします。事業が軌道に乗り、新しいサービス領域へ展開するタイミングで、追加の出願を行う方が資金繰りの観点でも安全です。
ポイント4:手続き進行に伴う費用の発生タイミング
商標権を取得してビジネスを安全に進めるためには、手続きの全体像と、どのタイミングでコストが発生するのかを正確に把握しておく必要があります。

プロセスごとの費用発生タイミング
商標登録のやり方には、特許庁へ自分で出願する方法と、弁理士などの専門家に依頼する方法の2種類がありますが、どちらを選んでも特許庁に支払う法定費用は原則として「出願時」と「登録審査の通過時(登録料納付時)」の2段階で発生します。
- 出願時: 願書を提出するタイミングで「出願料(12,000円+8,600円×(区分数-1))」を支払います。
- 登録時(約半年〜1年後): 審査に通過し、登録査定が出た後30日以内に「登録料(10年分の場合:32,900円×区分数)」を支払います。
専門家に依頼した場合は、上記のタイミングに併せて「出願時の着手金」と「登録時の成功報酬」という形で代行手数料が2回に分けて請求されるのが一般的です。
ポイント5:審査対応にかかる追加費用と事前調査
商標の出願手続きを進めるうえで、見落としがちなのが特許庁の審査過程で発生する追加コストです。
審査対応(中間処理)の具体例と費用の目安
特許庁へ出願した後、類似する先行商標が存在したり、識別力が不足していたりすると、審査官から「拒絶理由通知」が送られてくることがあります。この通知に対して、意見書や手続補正書を提出して反論することを「中間処理」と呼びます。
中間処理を弁理士などの専門家に依頼する場合、当初想定していた商標登録の費用とは別に、追加の金額が発生します。対応内容によって金額は異なりますが、以下のような相場が一般的です。
- 手続補正書の提出のみ: 10,000円〜30,000円程度(区分を減らすなど簡単な修正の場合)
- 意見書の作成・提出: 30,000円〜100,000円程度(法的な見解をまとめ、類似していないことを法的に主張する場合)
予算策定と運用時の注意点
新規事業の立ち上げにおいて、予算を適切に管理するためには、この中間処理にかかる費用もあらかじめ予備費として見込んでおく必要があります。
このような想定外の費用を抑えるための最大の対策は、 出願前の事前調査を徹底すること です。前述した特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)を活用し、自社のビジネスアイデアに近い商標がすでに登録されていないかを念入りに確認してください。これにより、拒絶理由通知を受ける確率を大幅に下げることができます。
まとめ
商標登録は、新規事業のブランドを守るための重要な防衛投資です。この記事では、商標登録の費用相場を把握し、自社に合ったやり方で権利を取得するための5つの主要なポイントを解説しました。
要点をまとめると、以下の通りです。
- 費用構造の理解: 法定費用と代行手数料の2種類があり、申請方法で変動します。
- 自分で申請するやり方: 費用は抑えられますが、専門知識と調査の時間が必要です。
- 区分数の最適化: 事業内容に合わせた必要最小限の区分選択がコスト削減の鍵です。
- 発生タイミングの把握: 出願時と登録時の2段階、さらに審査過程での追加費用も考慮に入れるべきです。
- 事前調査の徹底: 拒絶理由通知のリスクを減らすため、出願前の綿密な調査が不可欠です。
これらのポイントを踏まえ、自社のリソースと予算に合わせた最適な商標登録戦略を立て、大切なビジネスを確実に保護してください。


ねこ太郎
独立系ベンチャーキャピタルでの投資業務を経て現在は研究機関で起業家の成功要因を分析する専門家です。キャピタリスト時代に数多くのアプリやウェブサービスの立ち上げを支援してきた豊富な経験を持っています。その現場での知見と最新の研究データを掛け合わせゼロからのビジネス立ち上げを成功に導くための実践的なノウハウを発信しています。
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